研究課題/領域番号 |
26620146
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森 敦紀 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90210111)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオマス / グルコース / フルフラール / システイン / セリン / オキサゾール / チアゾール / カップリング反応 |
研究実績の概要 |
バイオマスから得られたグルコースを変換することにより得られるフルフラールに着目し,その触媒的C-Hカップリング反応を中心とする炭素-炭素結合,炭素-ヘテロ原子結合を生成する化学変換反応を利用することにより,π共役系が拡張した有機化合物を合成し,発光材料をはじめとする有機機能材料の創製をめざした。目標達成のため,フルフラールのホルミル基を有効にヘテロ芳香族骨格へと変換する縮合反応の確立をめざした。フルフラールに対して,アミノ酸の一種であるシステインおよびセリンを用いて縮合反応したところ,フラン骨格とチアゾール,フラン骨格とオキサゾールをもつ二環性の化合物が得られた。この化合物に対して,種々の遷移金属によるカップリング反応をおこなったところさらなるπ共役系が拡張された生成物が得られた。フラン環に対しては臭素化の後にアリールホウ素反応剤とのパラジウム触媒によるカップリング反応,アゾール環に対してはC-Hカップリング反応を銀塩を添加剤として用いる方法が有効であることがわかった。得られた化合物について,紫外・可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。その結果,それぞれの波長は,共役系の拡張や芳香環上の置換基の電子効果により大きく異なることがわかった。また,蛍光に関してはいくつかの化合物において非常に強い発光を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フルフラールに対して種々のアミノフェノール(アルコール),アミノチオフェノール(チオール)との反応により縮合してヘテロ芳香環を形成する方法を順調に確立できた。また得られたフランとアゾールからなる骨格に対して,官能基変換も成功している。またフラン環3位の官能基化については,化学量論量のイリジウムを用いることでC-H結合が活性され炭素-金属結合を形成できることまで明らかとなっていて,触媒反応まで展開する準備が着実にできている。
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今後の研究の推進方策 |
フラン環3位の官能基化について本格的に条件検討に着手する予定である。さらには,得られたπ共役系化合物の詳細な物性についての評価も開始していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が計画通りに進まない場合を想定して,問題解決のための種々の条件検討に用いる消耗品を予定していたが,予想外に最適条件を見いだすことができたため,薬品,溶剤,シリカゲル,ガラス器具等に要する研究費が必要でなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後,条件最適化において困難が予想されるフラン環3位の官能基化反応を遂行するための消耗品購入に充てる予定である。
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