近年,化学産業において,持続可能な炭素資源としてバイオマスが注目され,水素化などの反応による燃料や化学品への変換が精力的に検討されている.そこで本研究では,金属/金属酸化物の酸化還元サイクル(ケミカル・ルーピング)を利用して,水を水素源とした水素化反応プロセス創製を目指した.バイオマス由来のグルコースおよびラウリン酸メチルの水素化(分解)等に適応し,水と金属鉄との反応により発生した水素で水素化反応が進行すること,用いた鉄は酸化鉄として触媒作用を発揮して反応経路に関与していることを明らかにした.また,酸化鉄はバイオマスとの加熱処理によって金属鉄へと再生し,繰り返し反応に利用できることも確認した.
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