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2015 年度 実施状況報告書

水-二酸化炭素によるバイオマス新規糖化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26620151
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

佐々木 正秀  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60357126)

研究分担者 加我 晴生  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (20356752) [辞退]
清水 弘樹  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (30344716)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードサスティナブルケミストリー / バイオマス / 化学原料化 / 水 / 二酸化炭素
研究実績の概要

「既存パーコレーター型反応装置の二酸化炭素導入による仕様変更」
水熱反応条件の最適化:パーコレーター型反応装置による水熱反応実験において、反応初期(昇温過程)でもリグニン由来の分解生成物が抽出されることが判明した。この結果は木質系バイオマス中のセルロース、ヘミセルロース由来成分を効率的に抽出するためには、水熱反応での抽出率の向上が必須であることを示唆している。そこで過度の分解を抑制し、かつ高い抽出率が得られる条件探索を行った。酢酸共存下反応温度260℃、60minでバイオマスのほぼ全量の可溶化に成功した。また、ここで得られた抽出物の4%硫酸による加水分解を行った結果、66%の収率で単糖を得ることができた。この値は従来法である硫酸(72%, 4%)による加水分解(69%)とほぼ同等であり、この結果より酢酸共存下での水熱反応では過度の分解(単糖の分解)はほとんど起こっていないことが明らかになった。
オリゴ糖成分の超臨界二酸化炭素による分解挙動:昨年度の引き続き、水熱反応実験で得られたオリゴ糖成分を反応物として回分式反応装置による超臨界二酸化炭素共存下での実験を行った。二酸化炭素を用いた実験では、超臨界状態での二酸化炭素の高い拡散性のため、正確な反応評価は困難であることが判明した。
二酸化炭素導入による仕様変更:既存1/4 inchパーコレーター型反応装置に二酸化炭素導入のための送液ポンプおよび生成物回収部に全自動圧力調整弁、気液分離捕集器をそれぞれ組み込み、二酸化炭素を連続的に供給および生成物の効率的回収可能な連続装置を作製した。水-二酸化炭素同時導入では、反応場(水熱反応部)での超臨界二酸化炭素の急激な密度変化を考慮し、初期流速(mL/min)を設定した。また、サンプルを入れず、各比率での水-二酸化炭素系の反応器内温度を測定し、実際の反応における基本運転条件を設定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水熱反応条件の設定に関しては、酢酸共存下、260℃, 60minでバイオマスのほとんどの可溶化に成功し、得られた液状生成物から硫酸法に匹敵する単糖収率を得ることができた。また、回分式反応装置によるオリゴ糖成分の加水分解では、反応場での超臨界二酸化炭素の高い拡散性のためマスバランスがとれず、反応評価が困難であることが判明した。これを克服するためには、連続反応装置による反応実験が不可欠である。既存パーコレーター型反応装置の二酸化炭素導入による仕様変更では、二酸化炭素導入のための送液ポンプの設置、および反応生成物を効率的に回収するための全自動圧力調整と高性能気液分離捕集器をそれぞれ組み込み、二酸化炭素の安定的な供給を実現した。実際の反応条件では、反応場(水熱反応部)での超臨界二酸化炭素の急激な密度変化を考慮し、初期流速(mL/min)を設定した。また、サンプルを入れず、各比率での水-二酸化炭素系の反応器内温度を測定し、実際の反応における基本運転条件を設定した。

今後の研究の推進方策

水熱反応条件の設定に関しては、これまでの結果よりもさらなる条件の緩和(反応温度および保持時間の低減)を目指す。仕様変更後のパーコレーター型反応装置については、バイオマスを反応物として反応実験を行い、超臨界二酸化炭素の加水分解能を明らかにするとともに、本手法の有効性を実験的に立証する。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度は本研究の主要部分であるパーコレーター型反応装置改良作業およびその基本運転条件の設定に集中したために、成果発表としての内国旅費を使用できなかったので、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成28年度は改良後の連続反応装置による反応実験を予定しているが、実際の反応実験に際して当初予想できなかった事象に対応するために、次年度使用額を使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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