1. カーボンナノチューブを光触媒とする水素発生反応 SWCNTsのベンゼン分散液にパルスレーザー光を照射すると効率的に水素が発生し、2時間のレーザー光照射における発生量は100 μmolに達した。初期の水素発生速度はレーザー光強度の4乗に比例し、4光子が関与する反応であることがわかった。また、82 mJ/pulseのレーザー光強度における水素発生の量子収率は130%となった。 2. ピレンを有機光触媒前駆体とする水素発生反応 ピレンのシクロヘキサン溶液にパルスレーザー光を照射するとピレン分子が凝集した微粒子が生成した。90分のレーザー光照射後の粒子径は1100 nmに成長することがわかった。さらに、紫外可視吸収スペクトルの変化、溶液のTEM画像測定からも粒子の生成が確認できた。また、微粒子の生成に伴い水素が触媒的に発生し、7時間のレーザー光照射による水素の発生量は250 μmolとなり、仕込みピレン基準のターンオーバー数は2000、水素発生の量子収率は7.9%であった。 3. レーザーパルス光照射により高分散化されたリチウムイオン内包フラーレンナノ粒子を用いた水中一重項酸素生成 リチウムイオン内包フラーレン(Li+@C60)の水分散液に、窒素雰囲気下パルスレーザー光を照射することで、平均30 nmの大きさにナノ粒子化した高分散水溶液が得られた。酸素飽和重水溶液中、このナノ粒子 (Li+@C60)nの一重項酸素生成の量子収率は55%に達した。また、(Li+@C60)nとpBR322 DNAを含むバッファー溶液(pH 8.0)に光照射を行った後、アガロースゲル電気泳動を行った。その結果、一重項酸素により切断されたDNAが検出された。
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