研究課題/領域番号 |
26620155
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
藤木 道也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (00346313)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フェルスター共鳴 / ポリスチレン / 架橋 / 膨潤 / 収縮 / 蛍光 |
研究実績の概要 |
(a)架橋ポリスチレン(PSt)微粒子が良溶媒中で膨潤-収縮する挙動に着目して蛍光粒子を短工程かつ簡便な方法により作製することを目的とした。その結果、常温常圧、無触媒で蛍光性架橋高分子粒子の作製に成功した。本法により、短工程かつ蛍光分子を含む濾液と架橋高分子粒子の回収と分離が簡便に行うことができる。導入する蛍光分子とその濃度を変えるだけで蛍光分子由来の蛍光スペクトルを粒子内で再現できる。そのため、従来の重合可能な蛍光分子を含む蛍光性高分子粒子や架橋高分子の表面修飾による蛍光粒子の固定化法に対して、汎用性に富む画期的な手法への発展が期待される。 (b)蛍光性2,2’-bithiophene (Dye1)溶液中に架橋PSt微粒子を浸漬して得られた試料の蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、PSt粒子の切断面の蛍光顕微像から、蛍光粒子の作製に成功した。Dye1の発光は架橋粒子表面からではなく、粒子の膨潤-収縮作用と蛍光分子拡散に起因する粒子内部からの発光であった。架橋度1%のPSt粒子を用いた場合に粒子内全体に蛍光分子を拡散させた蛍光粒子が得られた。一方、架橋度2%と4%のPSt粒子からは架橋粒子表面付近に存在する蛍光粒子が得られ、架橋粒子内部へ蛍光分子拡散は抑制されていた。 (c) 種々の蛍光分子(ピレン、アントラセン、ビチオフェン誘導体)を導入した。ピレン分子含有PSt粒子では、ピレン分子はPSt粒子の収縮による影響を受けて一分子の再配向または二分子の再配列が起きることが示された。アントラセン含有PSt粒子ではアントラセン由来の燐光発光が室温では観測されず、熱的失活や溶存酸素による失活が起こっていた。 (d)二元系ビチオフェン誘導体(Dye1, Dye2)を内包させた試料からFRET効率を見積もった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a)架橋ポリスチレン(PSt)微粒子が良溶媒中で膨潤-収縮する挙動に着目して蛍光粒子を短工程かつ簡便な方法により作製することを目的とした。種々検討した結果、常温常圧、無触媒で蛍光性架橋高分子粒子の作製に成功した。本法により、短工程かつ蛍光分子を含む濾液と架橋高分子粒子の回収と分離が簡便に行うことができる。従来の重合可能な蛍光分子を含む蛍光性高分子粒子や架橋高分子の表面修飾による蛍光粒子の固定化法に対して、汎用性に富む画期的な手法への発展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
発光ドナーを含む微小球B(直径rB)と発光アクセプターを含む微小球A(直径rA)を調製し、屈折率と旋光度を制御した流動性媒体に分散させ、微小球A/微小球B/光学活性媒体からなる自己組織体を作製する。イオン結晶のアニオン/カチオンの直径比より予測される最密充填構造の知見を用いて、van der Waals力による微小球集積構造体の最適直径rAとrBを求める。微小球/媒体界面でのエバネッセンス波と光学活性分散媒体を介した微小球A-B間のLR-FRETにより、(i)円偏光吸収発光特性の付与と増幅、(ii)光合成系を超える量子コヒーレンス現象による超長距離光エネルギー伝達システムの構築に挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度に購入する高価な試薬などがあり、H26年度の予算執行にあたっては、できるだけ節約して使用したため
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度に高価だがぜひ検討したい試薬(約10万円/0.1g) を数点購入する。
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