水蒸気電解反応はΔSが正であるため、高温ほどTΔSという形で周囲から熱を吸熱し、この熱エネルギー分だけΔG(電解に必要な理論電圧)を低減できる。しかしながら、熱源が無いと動作しないという課題がある。水を理論分解電圧よりも小さな電圧で分解できるその他の方法としては、半導体電極を用いた水の光分解がある。本研究ではCa-Fe系の酸化物を水蒸気電解のカソードに用いた光集光型の水蒸気電解セルを作製し水蒸気電解セルの熱源として太陽光が利用できるか検討した。 電解質としてLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3(LSGM)、カソード電極としてCaFe2O4(CFO)、アノード電極としてBa0.6La0.4CoO3(BLC)を用いて水蒸気電解を行った。光源としてはソーラシュミレータを用いた。 ソーラーシュミレータの光を直径約4mm程度に集光(約100SUN)することで、印可電圧1.0V程度から電流が観察され、1.4Vにおける電流は2.5 mA/cm2であった。熱源として100倍集光した太陽光を用いた場合でも電解が可能であることが示された。現在のところ700℃前後が最適な集光条件と考えている。次にCa-Fe系の酸化物がカソード材として機能する機構について検討した。反応後のカソードを分析するとメタルの鉄やFe3O4が生成していることが分かった。しかしながら、メタルの鉄やFe3O4のみをカソードとして使用した場合は800℃においても殆ど電解が進行しなかったことから、本システムにおいてはカルシウムが水の還元に重要な役割を果たしていると考えられる
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