大きな発光量子収率(ΦPL)および大きな円偏光発光(CPL)の2色性を示す熱活性化遅延蛍光(TADF)分子の開発を目指した。最高占有軌道と最低空軌道をキラルな配置にとる芳香族分子らを合成し、TADFとCPLの両者を示す分子を報告した。トリフェニルアミンとベンゾフェノンからなるスピロ化合物の光学活性体からはほぼ100%のΦPLと4×10-4の2色性因子|g|を示すCPLの放出が確認された。この分子を発光層に用いたEL素子では発光層における光学活性体の濃度が30%の時に9.5%のEL外部量子効率を示したが、濃度の増加とともに分子間遷移の寄与が大きくなりELからのCPL特性が失われた。
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