セルロース原料の塩酸処理により調製したセルロースナノ結晶(CNC)の共存下、L-アラニンエチルエステル塩酸塩の重合反応について検討した。その結果、二量体および三量体といったアラニンオリゴマーに相当する生成物が高速液体クロマトグラフ質量分析計により検出され、CNCが重合触媒として機能する可能性が示唆された。生成量は常温、弱酸性あるいは中性条件において最大であった。いくつかのアミノ酸モノマーの重合反応について検討した結果、CNCは疎水的なアミノ酸モノマーの重合反応を特異的に触媒する可能性が示唆された。しかしながら、いずれのモノマーもオリゴマーへの転化率は数%以下であり、今後の改善が望まれた。
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