研究実績の概要 |
平成26年度は、メカノクロミック高分子の合成から研究に着手した。ジアリールビベンゾフラノン(DABBF)のジオール誘導体(DABBF-diol)を、報告済の合成手法に準じて合成を行った。その後、DABBF-diolを出発原料として用い、主鎖中にDABBF骨格を有するいくつかの高分子を合成した。核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤外分光(IR)測定、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定等により、目的高分子の生成を確認した。また、高分子合成の手法を駆使することで、結晶性ポリマーおよびアモルファスポリマーを得ることにも成功した。得られた高分子のサンプルは、概ね十分な溶解性を有しており、エレクトロスピニング法に適したポリマー高濃度溶液を調製できることが明らかとなった。 上記の合成と並行して、ナノファイバー紡糸装置(エレクトロスピニング装置)を用いて、ナノファイバー不織布の調製条件の検討を開始した。エレクトロスピニング装置は、他研究室のものを使用することができたため、購入することなく使用することができた。ポリマー溶液を調製するための溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などを用いた。その結果、目視および走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてナノファイバーの生成を確認した。SEM観察の際には、ナノファイバー以外の構造体生成の確認、ナノファイバーの直径計測、ファイバー直径の分散性の評価なども併せて行った。得られたナノファイバーフィルムの力学物性評価を行った結果、通常のポリマーフィルムとは異なる力学物性を示すことが明らかとなった。
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