研究課題
無機ナノ粒子を平均直径1 um程度のゴム粒子と化学的に結合し、凝固することにより、無機ナノ粒子のナノマトリックス構造を有するエラストマーを調製した。アズキャストフィルムを調製し、動的粘弾性測定を行ったところ、ナノマトリックス構造を有するエラストマーは『力学エネルギーの散逸は高周波数で小さく、低周波数で大きくなる』というゴム材料の常識を覆す充填ゴムであることを確認した。この原因を究明するため動的粘弾性の温度および周波数依存性を測定し、横シフトファクター(aT)および縦シフトファクター(bT)を求めた。横シフトファクターは温度に対してWLF式に従って変化したが、縦シフトファクターは予想に反して温度に対して減少した。縦シフトファクターが温度に対して減少する現象はエネルギー弾性に起因するといわれていることから、ナノマトリックス構造を有するエラストマーはゴム由来のエントロピー弾性とナノマトリックス由来のエネルギー弾性の兼ね合いにより、損失弾性率(G”)の値が高周波数で大きく、低周波数で小さくなることが明らかとなった。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件、 招待講演 9件)
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