研究課題/領域番号 |
26620199
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
幸塚 広光 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80178219)
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研究分担者 |
内山 弘章 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (10551319)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポリオキソメタレート / アルコキシド / キレート剤 / 透光性材料 / 熱可塑性 / 熱軟化性 / チタニア / β-ジケトン |
研究実績の概要 |
キレート剤としてのベンゾイルアセトン(BzAc)の共存したでチタンテトラ-n-ブトキシドを加水分解し、溶液を濃縮・乾固させることによって、BzAcによって化学修飾されたポリオキソチタネートからなる有機・無機ハイブリッド材料を作製した。熱可塑性をTMA測定によって評価し、同ハイブリッド材料を作製する際の乾燥温度が軟化温度に及ぼす効果を調べた。その結果、乾燥温度を120℃から200℃まで上げると軟化温度は上昇するが、250℃で乾燥した試料は熱軟化性を示さなくなることがわかった。一方、GPC測定により、乾燥温度の上昇に伴って、重合体の分子量が増大することがわかった。分子量の増大は、乾燥温度の上昇とともにBzAcやブトキシ基が減少し、縮合反応が進行するためにおこるものと考えられるが、これが軟化温度の上昇の原因となっていると推察される。以上のように、ポリオキソチタネートの分子量を制御することによって軟化温度が制御できることがわかった。 次に、キレート剤の量ならびにアルコキシドを加水分解する際に使用する水の量を制御することによって重合体の分子量を制御することができれば、軟化温度を制御することができると考え、BzAcによって化学修飾されたポリオキソチタネート基ハイブリッド材料を対象とし、出発溶液におけるBzAcとH2Oの量が軟化温度に及ぼす効果を調べた。その結果、出発溶液中のBzAc量が少ないほど、またH2O量が多いほど、試料の軟化温度が高くなることがわかった。これは、BzAc量の減少、H2O量の増加によってアルコキシドの加水分解・縮合反応が促進され、ポリオキソメタレートの分子量が大きくなったことが原因であることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キレート剤により化学修飾されたポリオキソチタネート基ハイブリッド材料の軟化温度が、重合体の分子量の増加とともに上昇することを実験的に明らかにすることができた。さらに、重合体の分子量を、キレート剤の量、ならびにアルコキシドを加水分解するために使用する水の量を制御することによって制御でき、これによって軟化温度を制御できることを明らかにすることができた。これらの成果は、本研究によって提案している新しいハイブリッド材料の熱可塑性を人為的に制御できることを示したものであり、科学的・技術的に重要な意義をもつものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
キレート剤により化学修飾されたポリオオキソメタレートの短・中距離構造を明らかにする。すでにSPring-8での実験を済ませているが、現在、データの解析を進めているところである。さらに、本研究で提案しているポリオキソメタレート基ハイブリッド材料が新しいガラス材料である可能性が見えてきたので、ガラス転移現象の有無を実験的に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬やガラス器具の購入必要量が、計画していたよりもやや少なくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、実験担当学生の数を増やし、さらなる研究の進展を図る。そのため、試薬やガラス器具の購入必要量が増えることが予想される。次年度使用額を有効に使い、これら消耗品の購入にあてる。
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