研究課題
エレクトロクロミズムとは外部から印加される電圧により色が可逆的に変化する現象であり、フルカラー電子ペーパーへの応用へ向け、多色化技術の確立が求められている。これまでの研究によりレドックス伝導材料であるRu 錯体を導入したカチオン性高分子(p(CM/Ru))とエレクトロクロミック材料であるプルシアンブルー(PB)ナノ粒子を用い、高分子電解質の静電相互作用を用いた Layer-by-Layer(LbL)法により積層することで多色エレクトロクロミズムを達成した。そこで、本研究では電気化学的な手法による系の可逆化を目的とした。水分散性PBナノ粒子分散液とp(CM/Ru)は既報により合成し、対イオンとなる高分子電解質は市販のポリエチレンイミン(PEI)およびポリアクリル酸ナトリウム(PAA)を用いた。Ru/PBハイブリッド薄膜はLbL法によりITO基板上にp(CM/Ru)とPAAを3層積層させ、その上にPBとPEIを3層積層し、その電気化学特性を検討した。Ru/PBハイブリッド薄膜のサイクリックボルタモグラムは1.1 V(vs Ag/AgCl)に大きな酸化電流が観測されたのに対し、これに対する還元電流は非常に小さかった。これは外側のPBが触媒的に酸化され、プルシアンイエロー(PY)になったことを示している。以前までの研究ではこのPYを還元することは出来なかったが、本年度は系中の酸素をメディエータとすることで、PYを還元することに成功した。この変化は吸収スペクトルにより確認でき、多色エレクトロクロミズムの可逆化に成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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