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2014 年度 実施状況報告書

らせん状両極性有機半導体の創製と高耐久な有機薄膜太陽電池の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26620204
研究機関金沢大学

研究代表者

加納 重義  金沢大学, 物質化学系, 教授 (50115226)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードポリペプチド / 高次構造 / オリゴチオフェン / 有機半導体 / 太陽電池 / 電子ドナー / 電子アクセプター
研究実績の概要

平成26年度は、「電子ドナー性のオリゴチオフェンOT」と「電子アクセプター性のナフタレンジイミドNDI」が共有結合で連結したD/A連結ユニットを側鎖に規則配列したらせん状ポリペプチドを合成し、その光学的特性について検討を行った。
アミノエチル基含有ビチオフェン(1a)またはターチオフェンユニット(1b)を合成し、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びL-リジン誘導体とのイミド化反応、続く環化反応を行うことにより側鎖にD/A連結ユニットを導入したN-カルボキシ-α-アミノ酸無水物(2a及び2b)の合成を行った。得られたモノマーの開環重合を行うことにより、ポリペプチド誘導体(poly-2a及びpoly-2b)を得た。
得られたポリマーの円二色性(CD)及び吸収スペクトルをTHF溶液中で測定した結果、いずれのポリマーにおいても明確なコットン効果が観測されることが分かった。ポリマー主鎖の吸収領域には、ポリペプチドが高次構造を形成していることを示唆する特徴的なCD吸収が観測され、側鎖に導入したD/A連結ユニットの吸収領域にも明確なコットン効果が観測されることが分かった。
ビチオフェンユニットを有するpoly-2aと比べてターチオフェンユニットを導入したpoly-2bの方がD/A連結ユニットに由来するCD強度が増大しており、これは構成チオフェン環数が増えたことにより、側鎖間のπ-πスタッキングが効率的に作用したためだと推察される。Poly-2bのIRスペクトルを測定したところ、1630 cm-1付近に、ポリペプチド骨格がβシート構造を形成していることを示唆するピークが観測され、CDスペクトルの結果とも一致した。以上の結果から、本ポリマーはポリペプチドに特有の高次構造を形成しており、主鎖に沿って側鎖のD/A連結ユニットが不斉な環境で配列していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

交付申請時には、平成26年度の研究計画として、「① D/A連結側鎖を高密導入したポリペプチドの合成法の確立」、「② 電極基板上へのらせん状ポリペプチドの垂直固定化及びその半導体特性の評価」の課題を挙げていた。
研究実績の概要に記載の通り、平成26年度内に1つ目の課題である目的のポリペプチドの合成に成功したが、残りの課題については未だ検討段階である。そのため「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

昨年度から引き続き、「電極基板上へのらせん状ポリペプチドの垂直固定化及び両極性半導体特性の評価」を行うと共に、下記に挙げる二つの課題についても検討を行っていく。

「モルフォロジー制御から脱却した有機太陽電池開発」→ 昨年度開発した“ポリペプチド型両極性半導体”を太陽電池素子に応用する。すなわち、“単一材料のみからなる発電層薄膜”を作製し、高耐久な太陽電池素子の開発に挑戦する。本素子に太陽擬似光を照射することで、太陽電池性能を評価する。さらに、素子性能の安定性について、発電効率の時間依存性を様々な温度条件で評価することで定量する。

「らせん状両極性半導体材料の普遍化及び高性能化」→ “らせん高分子の構造的特徴を活かした両極性有機半導体開発”の新概念を普遍化するために、“p型ユニット”及び“n型ユニット”の組み合わせの異なる種々の高分子を設計し、これまでの課題と同様の研究項目について検討を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ポリペプチドの構造特性を利用した電子ドナー及び電子アクセプターユニットの同時規則配列2015

    • 著者名/発表者名
      松井伶士那, 井改知幸, 前田勝浩, 加納重義
    • 学会等名
      第64回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2015-05-27 – 2015-05-29

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公開日: 2016-05-27  

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