研究課題/領域番号 |
26620206
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 健司 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (50202263)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分子認識 / 圧電性材料 / 電場応答 / 分子鋳型ポリマ / ガスセンサ / リコンフィギュアラブル / チューニング / 制御 |
研究実績の概要 |
生物の分子認識能力に匹敵する化学センサ技術の開発は、化学物質に関連した情報を必要とする幅広い分野において応用が期待されている。しかし、現在の分子認識型化学センサはセンシング材料の固定的な分子認識能力にセンサの分子選択性が制限されているため、化学センサの開発効率が非常に低いという状況にある。本研究はそのような分子認識材料の制御性と開発効率を飛躍的に高めるために、リコンフィギュアラブル(初期化・再設定能)性を有し、分子認識特性の電気的制御・チューニング(最適化)が可能な分子電子デバイスの作成を目的とした。特性制御が可能な分子認識デバイスを実現することで、数多くの化学物質に対し柔軟な分子認識機能を付与し、極めて高い効率で多種多様な化学物質をセンシングできるデバイス開発の基礎技術の創成を行った。 平成27年度は電気的な制御が可能な材料として、圧電性を有する強誘電性ポリマであるPVDFを選択し、その分子鋳型ポリマーを作成した。また、鋳型を形成しないポリマーを作成し、分子鋳型化を行う雰囲気下に置くことで、この材料を初期化・再構成(リコンフィギュア)できることを確認した。さらに、圧電性を利用し、高電圧を印加する事で認識する分子サイズを変更できることを確認した。 また、光により極性を変更できるフォトクロミック材料であるスピロピランを用いたフィルムを作成し、表面極性を光制御を確認した。その上で、作成したフィルムが分子吸着特性が表面極性により変化し、光制御可能な分子認識材料につながる事を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した電場応答性を持つポリマー材料を用いた分子認識膜の作成と電場印加によるガス吸着特性の制御が可能であることを確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、分子鋳型材料を電場応答性ポリマ(強誘電性ポリマ)に組み込んだセンサデバイスを実現する。その上で、センサの分子認識特性を光、および電圧で制御し、測定対象に合わせたセンサ特性のチューニングを実現する。また、本研究で得られる複数の外部刺激によってセンサの分子認識特性を高度に制御可能な分子認識材料を組み込む高次元センシング技術(ハイパーセンシング技術)についても本研究の中で検討を実施する。 また、研究組織において、センシングデバイス研究では連携研究者として新たに佐々文洋助教(九州大学)を加え、平成27年度の連携研究者であった劉傳軍主幹研究員(株式会社ユー・エス・イー)を研究協力者として実施する。
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備考 |
有機電子デバイス教室 http://o.ed.kyushu-u.ac.jp/
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