本申請では、これまで申請者が培ってきた、素子動作と分光またはESRの融合技術を活用し、有機FETが動作する際のキャリヤやトラップのダイナミクスを直接計測する技術の開発に挑んだ。有機FETとしては、ポリマーを絶縁体に用いたFETや、ポリマー電解質を絶縁体とした電気二重層型FETを対象とした。分光計測を行った結果、両試料ともにキャリヤ信号の計測に成功した。そのキャリヤ信号の観測位置特定を経て、キャリヤ信号が単独に観測されるエネルギー位置において、ゲート電圧印加と同期させた時間分解分光計測を実施した。その結果、ゲート電圧印加後キャリヤ信号が約2.9msの時定数で成長する様子を実測することに成功した。
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