ナノスケールの金属材料における疲労挙動を明らかにすることを目的として,共振疲労試験手法を開発した.1μm以下の金単結晶微小試験片に対して疲労試験を実施した結果,試験部表面に微細なすべり帯が発生した.このすべり帯の形成応力は150 MPa以上と見積もられ,バルク材における固執すべり帯の形成応力よりも6倍以上大きい.試験後の試験片の断面観察では,試験片表面近傍に約60 nmの幅の突き出し/入り込みが形成されていた.複数の試験片を用いて実験を行った結果,10μm以下の材料に発生する疲労損傷の様相は,バルク材の固執すべり帯と類似しているが,形成応力や形成寸法に寸法効果が存在することを明らかにした.
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