本研究では,斜め蒸着法により内部構造異方性を有するTiおよびCuナノポーラス薄膜を作製した.ナノポーラス薄膜は傾斜したナノ要素が連結した構造を有し,コラム傾斜方向には離散的,それと直交する方向には連続的な構造となった.ナノポーラス薄膜を基板から自立させると,薄膜の2次元形状によらずコラム傾斜方向に曲げ変形が生じた.すなわち,構造異方性付与により薄膜の曲げ変形方向を制御できた.また,ナノポーラス薄膜は均質薄膜と同程度の高い引張強度およびクリープ強度を示した.本技術により,高強度ナノポーラス薄膜を素材として,コイルばね等の3次元外部形状を有するこれまでにない微小機械要素の創製が可能になった.
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