研究実績の概要 |
検査面上に照射した集光ビームスポットを,そのスポット分布が重複する形でナノシフト(局在光動的制御)させた際に検出される複数の遠隔場検出光散乱像群に対して,集光ビームスポット強度分布の重みと光学系の点像分布関数を考慮した逆演算を施すことで,通常の遠隔場応用光学的手法では困難な集光ビームスポット内の情報を,回折限界を超越した空間分解能で取得する,といった新しい光学的ナノ欠陥計測法の実現を目指し,理論・実験の両面から提案コンセプトの検証を試みた.具体的な成果は以下となる. 1)微細機能構造の光学的物理モデル化と超解像シミュレータの構築:回折限界以下のサイズスケールを有する微細機能構造からの光応答を厳密に理論解析するために,FDTD法および遠隔像算出用フーリエ光学を融合した計算機シミュレータを構築した.結果,意図的に冗長拡大観察を行い,ピクセルサンプリングサイズを,30nm以下に設定することで,レイリー限界313nm条件(NA0.95,波長488nm)において,40nm解像が可能であることを理論的に明らかにした. 2)局在光動的制御型超解像基礎実験装置の構築および提案基本コンセプト検証:既開発の構造照明超解像装置に,集光スポットサイズ制御用コリメータを実装し,スポットのナノシフトを実現する精密ステージ機構,無限遠補正拡大顕微機構,および高ダイナミックレンジCCDエリアセンサ画像検出ユニットと融合した検証実験装置を開発した.標準微細試料を用いて提案手法妥当性の検証を試みた結果,レイリー限界541nm条件(NA0.55,波長488nm)の対物レンズによる複数像(24枚)を用いて,上述の逆演算を施すことにより,300nm幅のライン構造の解像した.これにより,遠隔場光学系に関わらず回折限界超越を実現するという提案手法の基本コンセプトを実証した.
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