研究課題/領域番号 |
26630022
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中本 圭一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90379339)
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研究分担者 |
笹原 弘之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00205882)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 切削加工 / 把持具 / 柔軟材料 / 多孔質材料 |
研究実績の概要 |
本研究の提案手法では,酢酸ナトリウム水溶液の過冷却現象を利用して柔軟・難把持工作物を把持する.酢酸ナトリウム水溶液は,過冷却状態では液体であるため,水平な工作機械テーブル上に容器を置いて,その中に水溶液と工作物を入れる.工作物の周りを水溶液で満たしておくことで,複雑形状であったとしても,水溶液が凝固すれば隅々まで均等に把持できる.水溶液が凝固を始めるきっかけの刺激としては,加工前に工具を水溶液に浸すことを想定しており,これにより加工の自動化にも対応できる.そこでまず,水溶液の濃度を変化させた場合の凝固までの時間や凝固時に発生する熱,様々な工作物材質(金属,プラスチック,ゴム等)に対する把持力を詳細に調査した. また,柔軟・難把持工作物の加工誤差について,推定される切削力に基づいて予測した.本研究では切削加工の中でも一般的なエンドミル工具によるフライス加工を対象とするが,このときの切削力は,回転する工具が切り取る瞬間的な切削断面積に比例する切削係数法を用いて推定でき,これを用いて工作物の変形(たわみ)に影響を与える平均切削力を計算した. 一方,スポンジ等の有機高分子を主成分とする多孔質の柔軟工作物は,ゴム等の無孔質の柔軟工作物とは異なり,内部に無数の細孔を持つ.そのため,上記のような外部からの把持では,加工時の変形や把持に起因する変形が発生し,高精度な切削加工を実現することは難しい.そこで,多孔質材が液体を含浸できることに着目し,酢酸ナトリウム水溶液を用いた工作物把持手法を応用することで,多孔質材の内部からの保持によってみかけ上の剛性が確保され,高精度に複雑形状を加工できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,提案する把持手法を用いた柔軟・難把持工作物の高精度加工の目標として,金属,プラスチック,ゴム等の無孔質材料を対象していたが,スポンジ等の有機高分子を主成分とする多孔質材料に対しても,提案手法を応用した新たな把持手法を考案して複雑形状の高精度加工を達成できたため.
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今後の研究の推進方策 |
提案している把持手法では,工作物だけでなく凝固した酢酸ナトリウム水溶液も共に削り取る.従って,これらの形状が変化していくことで工作物のみかけ上の剛性が変化し,加工誤差にも影響を与えることが予想される.そこで,初年度に開発した加工誤差の予測を基にして,所望の加工精度を確保できるように,把持部分を含めて加工順序を計算する工程設計機能を考案する.このとき,必要に応じて容器の周りに設置するヒーターで,酢酸ナトリウム水溶液の凝固と融解を繰り返し,一度削り取った部分の再生を含めて考慮する.さらに,これまで研究代表者が取り組んできた,多軸制御工作機械の工程設計,工具姿勢の決定や工具経路生成の知見も加えて,工作物の把持条件と工具経路を含む加工条件の最適化を図ることで,複雑形状に対しても高精度な切削加工を実現する実用性の高いCAMシステムを開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や旅費で想定外の端数が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
極めて軽微な額であり,次年度予算と合わせて適切に使用する.
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