研究課題/領域番号 |
26630055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河原 源太 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50214672)
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研究分担者 |
清水 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20550304)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 乱流 / 亜臨界乱流遷移 |
研究実績の概要 |
平成26年度に続き壁面剪断流において既に発見されている空間局在周期解を求め,それらのレイノルズ数を変化させながら追跡した.円管流の空間局在周期解については,Avila らが求めた周期解を狙い撃ち法により再現し,それを初期推定としてニュートン・クリロフ法により数値解を求めた.平面ポアズイユ流の空間局在周期解については,ZammertとEckhardtの行った数値計算を追試し,狙い撃ち法及びニュートン・クリロフ法により数値解を求め,そのレイノルズ数を変化させた.また,上で求められた平面ポアズイユ流の周期解の線形安定性解析を行列フリーなアーノルディ反復により行い,この周期解の不安定固有値と不安定固有ベクトルを求めた.不安定固有値はただ1つであり,この周期解がいわゆるedge state(ただ1つの実不安定固有値とそれに対応するただ1つの不安定固有ベクトルを有する不変解であり,相空間においてその安定多様体は乱流と層流との吸引領域境界を形成する)である.この周期解の不安定固有ベクトルは,乱流斑点が空間的に拡大するメカニズムを理論的に記述していることが明らかとなった.また,その不安定多様体は,乱流斑点の非線形空間発展,すなわち乱流遷移過程の全般の理論的な記述 を与えることとなる.さらに,ごく最近沖野によって発見された矩形ダクト流の空間局在定常進行波解の追試に取り組んでいるが,今のところ局在解を再現することには成功していない. また,平成26年度に続き,円管流,平面クエット流,平面ポアズイユ流,矩形ダクト流の各層流状態に有限振幅攪乱を注入し,それらの非線形時間発展を直接数値シミュレーションあるいは粒子画像流速計を用いた実験により調査し,乱流パフ(円管流,矩形ダクト流)あるいは乱流斑点(平面クエット流,平面ポアズイユ流,矩形ダクト流)の成長過程を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホモクリニック軌道を生成する空間局在周期解を,円管流及び平面ポアズイユ流において求めることに成功し,その不安定固有ベクトル及び不安定多様体を求めることに成功し,これらの流れに対するホモクリニック軌道の計算準備が整い,かつ空間局在した非線形攪乱の成長過程を直接数値シミュレーション及び実験によって捉えることができたためである.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでに得られた空間局在解に加え,平面クエット流,矩形ダクト流についても空間局在解を求めることを目指すとともに,既に得られている局在解に対しては,ホモクリニック軌道を狙い撃ち法を用いて求める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度はホモクリニック軌道を発生する局在解の計算を中心に進め,ホモクリニック軌道の計算を平成28年度に行うこととしたためである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には局在解の計算とともに,それが生成するホモクリニック軌道の計算を実施する.
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