本研究では,系の代表長さを100 nm以下の分解能で連続的に可変とする電極対を作製し,微小空間におけるイオン流動の応答特性を計測した.テーパ角が5度の金メッキされた切頭円錐形電極対により,電極間距離を87 nmの分解能で連続的に可変とし,1 μm以上のマイクロギャップにおけるイオン流動現象を解析した.その結果,電解質の塩濃度が高いほど,また電極間距離が長いほど非定常イオン電流の応答時間が長くなることが明らかにされた.これは,塩濃度と距離の増加に伴って電極間に存在するイオンの総数が増加し,弱い電場中を移動するために緩和に長時間を要することが実験的に計測され,さらに理論解析により詳細が説明された.
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