研究課題/領域番号 |
26630058
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
元祐 昌廣 東京理科大学, 工学部, 講師 (80434033)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロ流体 / 計測技術 |
研究実績の概要 |
計測深さが可変なマイクロ3次元流速測定法の開発を目標として,その基礎となる異方性焦点面の形成とその結像特性の評価,ならびに粒子位置の3次元計測手法の検討を重点的に行った. (1) 異方性焦点面の形成とその結像特性の評価 ファイバーレーザ光源を照明とし,無限共役光学系の結像レンズにシリンドリカルレンズを用いた異方結像顕微光学システムを製作し,その結像特性の評価を行った.ガラス基板上に直径1μmの蛍光ポリスチレン粒子を固定化して奥行き方向にトラバースして,撮影された粒子像を計測し,奥行き位置に依存して楕円状に粒子像が変形する様子が確認された.この歪み特性と位置の関係について検討した結果,粒子サイズとそのアスペクト比を含んだ評価関数を用いることで,全域において奥行き位置を同定可能であることを解析的に示し,3次元粒子測定が可能になることを見出した.また,シリンドリカルレンズや対物レンズのパラメータと計測深度,および歪み特性の関係性を明らかにした. (2) 粒子位置の3次元計測手法の検討 上述した評価関数を用いた,3次元計測の適用性に関する検討を行った.ガラス基板上に多数の同種粒子を分散したテンプレートを作製し,その奥行き位置を変化させて,各粒子の評価関数を統計的に評価し,歪み度と計測不確かさの関係を定量化した.その結果,計測深度の1/20程度まで分解可能であることを明らかにした.この知見を踏まえて,後方ステップを有するマイクロ流路において3次元計測を実施し,奥行き方向の粒子速度をPTVによって求めた.計測結果はシミュレーションと良い一致を示し,本手法によって3次元流速測定が可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画と比較すると,可変焦点面の形成・評価は実施できなかったが,その代わり,粒子像の歪み特性の解析を重点的に行った結果,奥行き方向速度の計測まで進めることができて,一部計画を早めることができたため,総合的に判断すると順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
当初は2年目に予定していた,3次元3成分流速測定の開発の目処が既に立ったため,昨年度未遂であった,可変焦点面の形成および評価を実施する.そして, 3次元流速測定の有効性の検証として,様々な3次元マイクロ流動計測を行う.さらなる発展性について検証するため,スケールアップした流れの計測,特に壁面せん断応力計測の可能性についても検討する予定である.なお,最終的には技術体系の有効性と可能性を明確にまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画立案時の見積りに比べて,多少の値引きができたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には,可変焦点面形成のための光学素子およびアライメント装置を購入する.測定対象となる,様々な3次元流動を実現するための微細加工関連試薬や部品についてはやや多めに購入する予定である.また,ガラスや蛍光粒子,試薬などの消耗品を購入する.他に,成果発表のための国内及び国外旅費,論文掲載費用にも使用予定である.
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