本年度は,最終目標である,計測深さが可変なマイクロ3次元流速測定法の確立のため,高さ位置の校正法の理論的解析及びその改善を実施し,最終的な目標である3次元流速測定を行い,測定法としての性能を評価した. (1)高さ位置の校正法の理論的解析及びその改善 様々なシリンドリカルレンズを用いて,その光学パラメータと粒子結像特性から,計測深度を求め,その依存性を明らかにした.また,結像特性の歪みと高さ位置との関係について,理論的検証を重ね,各結像軸ごろに逆双曲線型の結像モデルを導入し,これを変形して線形化させることで,より安定した計測が可能であることを理論的に示し,実験でも証明した.粒子像の認識方法に関して,従来の2値化法から楕円近似法へと改良し,結果として,認識精度が数倍向上し,サブピクセル精度での解析が可能であることを確認した. (2)マイクロ流れの3次元測定とマクロ流れへの適用 3次元3成分の流速測定の実証試験として昨年実施したステップ流路に加えて,透明導電膜アレイを配置したマイクロ流路を用いて,電場誘起流の挙動を計測した.結果として,適切に3次元計測が実現できていることを確認し,開発した3次元計測の有効性を示すことができた.また,マクロ流れ,特に壁面流計測へ適用するために,高さ数mmのミニ流路を用いて,壁面近傍20ミクロン領域の流速を3次元計測し,壁面せん断応力の定量化が可能であることも確認した.
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