研究課題/領域番号 |
26630060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄二 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80222066)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 燃焼 / 温度計測 / MEMS / 電磁カップリング |
研究実績の概要 |
固体壁面の温度は,様々な熱流体現象の解析に重要な役割を果たすだけでなく,流体機械,燃料電池,燃焼器など,多くの実デバイスの運転監視にも必要な基本的物理量である.本研究では,誘電体薄膜の比誘電率が温度により変化することを利用し,電磁カップリングを用いた新しいワイヤレスMEMS温度センサを試作し,光学的アクセスが不可能な場での温度計測への実現可能性を示すことを目的とする.特に,参照用センサと測定用センサを一体化することにより,センサと受信コイルの間の距離の影響,それらの間の介在物の影響を低減・回避するセンサ構造を考案し,これまでにない汎用的な温度計測手法として提案することを目標とする. 初年度は,壁面温度計測に用いるためのワイヤレス温度センサのモデル化,第一次試作による原理確認,実験による計測精度評価を行った.LCR共振回路で構成されるセンサと,読み取り用の外部コイルを等価回路モデルとして表現し,電磁場解析の結果と傾向が一致することを確認した.また,等価回路モデルに基づき,温度による抵抗変化を用いた無線センサの設計を行った.そして,ガラス基板上にスパッタ金属膜によるコイル・電極を形成し,CVDでSiO2膜を誘電体膜として形成することによって,MEMS技術を用いた無線温度センサを試作し,常温から200 ℃までの温度範囲で性能評価を行った.その結果,1.7 mmの測定距離において,200 ℃付近では 3.8 ℃の不確かさで温度測定が可能であることが判った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度目標として掲げた,壁面温度計測に用いるためのワイヤレス温度センサのモデル化,第一次試作による原理確認,実験による計測精度評価が全て完了し,当初の目標をほぼ果たすことが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
第一次試作のセンサは,コイルが薄膜のため寄生抵抗値が大きく,抵抗値変化を温度に換算する本センサでは,空間分解能が劣化する原因となる.そこで,コイルの寄生抵抗を減少させ,微小な想定スポットでの温度が計測できるセンサの開発を行う.また,測定可能距離をさらに増大させるための検討,コイル間距離が測定値に与える影響を現象させるための検討を行う.
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