熱伝導スペクトルを実験によって直接計測する手法を開発した.時間領域サーモリフレクタンス法を用いて,フォノン平均自由行程と同等のスケールで加熱・測温領域のサイズを変化させながら熱伝導率を計測し,そのサイズ依存性から熱伝導スペクトルを求めた.ただし,従来研究のようにレーザー光のスポット径を変えるのでは,分解能が光の回折限界(μm)に制限されてしまうため,本研究では,試料表面に形成した金属のナノ構造の局在表面プラズモン共鳴を利用して,金属のナノ構造のみにレーザー光を吸収・反射させることで,数十nmの加熱・測温領域による測定を実現した.その結果,低熱伝導率材料の平均自由行程を同定することに成功した.
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