小型の熱交換機器類への応用を視野に,伝熱性能を光の波長で簡便に制御する新規な方策を検討した.ある種の界面活性剤希薄水溶液に2-メトキシ桂皮酸(OMCA)とサリチル酸を少量混合すると,その粘弾特性は紫外光照射で顕著に変化することが分かった.この水溶液を伝熱媒体とし,紫外光照射による壁面熱伝達率・圧力損失の変化を調べた.その結果,両者とも光照射に対して不可逆的ではあるが大きく減少し,伝熱性能の光制御可能性を示すことができた.この主要因は紫外光がOMCA分子の多くをトランス体からシス体に異性化させ,水溶液中に形成される紐状ミセルのネットワーク構造を変化させるためであると結論づけた.
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