非平衡分子動力学解析および微視的な実験観察を用いて,ナノキャビティや固液界面エネルギー(濡れ性)などを含めた伝熱面の表面性状が核生成に及ぼす影響を調べ,沸騰現象に対する最も基本的な理解を得ることが本研究の目的である.固液界面からの不均質核生成は,界面エネルギー分布に依存し,必ずしもキャビティに依存しないことが分かった.また,マイクロキャビティは初期気泡核や気泡の成長や離脱にはほとんど寄与せず,むしろ,伝熱面に分布するナノキャビティの数密度が大きければ大きいほど,気泡が合体・離脱が促進され,最終的に多くの文献で報告された沸騰伝熱促進効果につながったではないかと考察できる.
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