研究課題/領域番号 |
26630069
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 康次 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70315159)
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研究分担者 |
松本 要 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10324659)
櫻井 篤 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20529614)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ふく射 / サーメット / 波長選択的吸収特性 |
研究実績の概要 |
金属表面にMOD法を用いて,サーメット二層構造を生成し,その波長選択的吸収特性をFT-IRで測定することで,耐熱性を有し優れた波長選択的吸収特性をもつ表面を創成する.本年度も引き続き,サーメットの母材を酸化ケイ素,酸化アルミニウムとし,金属有機化合物を熱処理することで生成した.混合させる金属微粒子を銀またはタングステンのナノ粒子とした.銀ナノ粒子の母材中における体積分率を40%,サーメット母材を酸化アルミニウムとしたとき,サーメットとして最も高い性能を示し,短波長側の吸収率と長波長側の放射率のバランスを定量的に評価する性能指数(FOM:最大で1)は0.81を示した.他材料の組み合わせではFOMが0.76程度にとどまっており,違いを調べるため,作製したサーメット薄膜の断面と表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した.その結果,タングステン粒子は直径が5マイクロメートル程度の大きな粒子に凝集しており,ナノ粒子が母材に均一に分散していなかった.一方,銀ナノ粒子を原料として異なる粒子濃度としたサーメット薄膜では,膜が均一にならずに多孔薄膜になっていた.ナノ粒子の凝集もしくはナノ粒子を混合した金属有機化合物溶液の不均一な塗布が目的の薄膜生成を妨げる原因となっていることも明確となった.一方でサンプルの半球放射スペクトル測定については,波長1-2マイクロメートルにあたる領域が装置で測定できる範囲外にあるため,外部に測定依頼することも計画している. 現状,計画していた2層構造生成まで実施できていない.薄膜表面の大きい凹凸が2層構造薄膜生成の妨げとなっており,サーメット自身の特性だけでなく,2層構造を生成する上でも溶液中で如何にしてナノ粒子を均一分散させることができるかが課題となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年,目的の薄膜が生成できずナノ粒子利用から真空蒸着に切り替えた.同時並行してナノ粒子を利用する手法についても生成を検討し,最終的に溶液中の粒子濃度を調整することで,基板上に原料を塗布して生成できることを見出した.このように複数の薄膜生成手法を検討する必要があったため,計画よりやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
改善方法が確定したため,引き続き,ペースを上げて実験を進めることで目的の薄膜が得られる目途がついた.放射スペクトル測定については,学内外の研究者と共同して進めることで,研究を進展させる.
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