研究課題/領域番号 |
26630071
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山口 朝彦 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (00284711)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | biomimetics / plantmimetiecs / capillary force / MRI / ferrofluid |
研究実績の概要 |
MRI内で使用できる温度測定法として光ファイバー温度計があるが,その不確かさが大きいため,MRI外部に設置した熱電対温度計と温度補正によりMRI内部に設置した恒温循環槽の温度を予測する方法の検討を行なっている。 次年度実施予定である植物内の水分輸送のMRI測定に先立って,文献調査を行なうとともに,比較的構造が単純な「かいわれ」と食紅を用いた水分輸送観測の予備実験を行なった。観測結果をもとに,植物内の水の輸送について,浸透圧,毛管力,蒸散圧力によるモデルの構築を行なっている。また,日本において入手が容易で,成長が早く,繊維の構造が明確で数十メートルの高さまで成長する「竹」にターゲットを定め断面の観測,毛管力による水分移動の観測などを実施した。 磁性流体は,共同で研究を行なっているノッティンガム大学のYuying Yan教授の研究室と同等の物を入手することができた。 バイオミメティクスの第一人者の一人であるノッティンガム大学のYuying Yan教授を招いて研究打ち合わせを行ない,バイオミメティクスと熱工学の観点から,植物の選定や,強磁性流体のMRI測定に関するアドバイスを受けた。また,毛管力,浸透圧,蒸散圧力と植物内の水分輸送機構の関係について議論するとともに,磁性流体のMRI測定に必要な学理について意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次年度に予定していた,植物内の水分輸送に関する文献調査や観測実験,モデルの構築などを先取りして研究を進め,バイオミメティクスの第一人者であるノッティンガム大学のYuying Yan教授を招聘して研究打合せを行なうなど,予定以上に進展したところはあったものの,当初予定していた磁性流体に関する実験が進まなかったため,総合的な達成度は「やや遅れている」とした。磁性流体の実験が進まなかった主な理由は,磁性流体の入手に手間取り,入手が2月になったためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初,平成26年度に予定していた磁性流体のMRI測定を平成27年度前半で集中的に実施する予定である。植物内の水分輸送については,MRI測定については予定通り実施し,そのまとめについては平成26年度に先取りした分だけより一層の進展が期待できる。研究を遂行する上での課題として,病院の医療用MRI利用のための調整,磁性流体の粒度分布の把握,磁性流体希釈時の粒子の分散,の3つが挙げられる。医療用MRI利用については,先方の空き時間に柔軟に対応できるように準備する。磁性流体の粒度分布の測定については,当初,ノッティンガム大学で実施する予定であったが,希釈・分散後に分布が変化する可能性があるとのことで,申請者の法で測定することになった。また,希釈に際する分散については超音波による分散が可能であるため,機器を所有する研究室に依頼する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内での所用が続き申請者の海外出張ができなかったためノッティンガム大学での研究打ち合わせおよびMRセンターの利用ができなかった。代わりにノッティンガム大学のYuying Yan教授を招聘し、研究打ち合わせを行なった。また、光ファイバー温度計の購入を予定していたが、自作を含め、熱電対温度計と温度補正による温度推測などの方法により、市販の光ファイバー温度計と同程度の精度での温度測定の可能性が見えたため、光ファイバー温度計の購入はペンディングとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額とした助成金については、初年度に実施できなかった分を含めて、ノッティンガム大学MRセンターでのFerrofluidの測定および研究打ち合わせを実施する。また、温度測定について、光ファイバーセンサーでの直接測定と熱電対温度計と温度補正による間接測定による精度の検証を行ない、適切な方法を採用してMRI装置内で使用できる恒温槽を完成させる。平成27年度は計画通り、植物内の水分輸送の測定を実施する。得に日本を含む東南アジアに豊富に生息し、成長が早く、繊維が明確な竹についてのMRI計測を行なう。助成金は、当初の計画通り、そのための出張旅費、謝金、その他の測定に必要となる物品の購入に当てる。
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