研究課題/領域番号 |
26630074
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
達本 衡輝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (70391331)
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研究分担者 |
小林 弘明 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 航空本部, 主任研究員 (50353420)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 可視化 / 液体水素 / 熱伝達 / 沸騰 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまで培った「熱伝達実験計測技術」に新たに高圧の液体水素中で使用可能な「可視化技術」を導入することにより、従来の相関式では記述できない飽和およびサブクール液体水素のプール沸騰現象を解明し、液体水素冷却による高温超電導機器の性能を十分発揮できる最適な冷却技術とその設計基準の確立を目的としている。 平成26年度は、提案書で示した可視化プローブの要素技術開発として、CCDカメラ導入用真空配管を試作し、断熱性能試験を実施した。既存の液体水素熱流動実験装置のインサートフランジにある貫通ポートを利用するため、断熱真空層のコンダクタンスが悪く、要求する真空度を維持できないことがわかった。そこで、新たに、光ファイバーを用いた可視化プローブを考案した。考案した可視化プローブでは、クライオスタット外の常温、常圧部(大気環境)にカメラを設置し、カメラ(常温部)から約2m離れたクライオスタット内の液体水素中(20K付近)にある供試体の沸騰現象を観察するために、光ファイバー(1万本を束ねたバンドル型)を採用した。カメラと光ファイバーの接合部には、耐圧ガラス製窓(低膨張ホウケイ酸塩製)付耐圧フランジ構造とした。この窓部は、受圧部となるが、液体水素の液面から約1500mm離れているため常温に保持される。要素試験として、採用した同種の光ファイバーを用いて、低温領域における耐久試験を液体窒素で実施した。3時間以上、画像の劣化もなく、鮮明に、液体窒素容器内の沸騰、流動現象を観察することができ、本提案する可視化プローブとして使用できることを確認できた。H26年度は、新たに考案した光ファイバーによる可視化プローブの詳細設計(窓部における工学設計を含む)を行い、試作機を製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書で提案した可視化プローブでは性能を満たすことができなかったため、新たに光ファイバーを用いた可視化プローブを提案し、その要素試験により、実現可能であることがわかった。今年度は、計画書と異なるタイプの可視化プローブではあるが、計画書の予定どおり、新たに考案した可視化プローブの試作機の詳細設計と製作まで完遂することができた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度に試作した可視化プローブを用いて、まず、液体窒素中におけるワイヤ発熱体からの熱伝達現象を観察し、開発した可視化プローブの低温性能評価試験を実施する。この試験で得られた知見をもとに、改良を加え、液体水素中での沸騰現象の観察を行い、従来の相関式では記述できない領域の液体水素のプール沸騰現象の解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
液体水素流動可視化システムを製作するにあたり、差額が発生したものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に購入予定の液体窒素に使用する。
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備考 |
本可視化プローブは特許出願を考えているため、H26年度は外部に公表(学会での発表)していません。
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