研究課題/領域番号 |
26630076
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
青柳 学 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80231786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音響アクチュエータ / 音響流 / 音波浮揚 / アクチュエータ / 空気ポンプ / 音響放射圧 |
研究実績の概要 |
本研究は近距離音場の音響放射圧・音響流を利用した物体の非接触搬送において,搬送力を生み出す音響流の発生と制御および動力への変換を行い,新たな高出力音響アクチュエータを実現することである。本年度の研究実績を以下に述べる。 1.搬送力は音響流の発生によって得られるため,様々な音場に対する音響流の発生状態を把握する必要がある。しかし,様々な条件下における音響流の実験的な観察は困難であるため,シミュレーションによる音響流の把握を試みた。非線形性を考慮した有限要素法解析による構造―音響―流体の連成解析を汎用有限要素解析ソフト(Comsol Multiphysics)により実施した。この解析方法は音響空気ポンプの先行研究で報告されているものを参照し,浮揚物体の搬送へ適用させた。実験的に音響流の発生具合が確認されているモデルに対して解析した結果,観察結果と良好な一致が見られた。浮揚物体への搬送力の発生は音場内の音響流の搬送方向の平均流速に強い相関があることが確認され,搬送力の見積りの可能性を示した。今後,本解析方法を用いて音響アクチュエータの構造設計を行う。 2.浮揚物体は隣り合う2つの振動板上に跨っているとき,振幅の大きい振動板の方に搬送される。その際,2つの振動板からは異なる音響放射力が浮揚物体に加わることになるため,浮揚物体が傾斜することが推測される。しかし,これまでの実験では浮揚物体お移動が伴うため確認が難しかった。浮揚物体の搬送方向の移動を制限する一方,浮揚方向には拘束しない実験装置を用いて観察したところ,予想通りに僅かに傾斜することが明確になった。浮揚物体が傾斜すると搬送方向の音響流が大きくなり,浮揚物体に働く音響粘性力も増大することが明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでは実験中心に研究計画を立て,実験により音響アクチュエータを検討したが,想定外の現象が多く観察された。そのため,音響アクチュエータの設計には音響流の解析が重要と判断し,その解析方法の開発と有用性の検討に時間を要したため,やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
音響流,音響粘性力の解析に有用な解析ツールを作成できたため,提案している種々の音響アクチュエータ,音響タービン,音響ポンプの設計,試作を行い,実験によりその性能を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
残高が少額になり有効な利用ができないため,次年度の予算と合算して使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算に加えて物品の購入にあてる。
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