研究課題
操作者が力覚を感じながら遠隔地に存在するロボットの位置・姿勢を操作する遠隔制御には,世界中の研究者が取組んできた.しかしながら,最も典型的な応用例とされる「レスキューロボット」や「手術支援ロボット」に対しても,未だに実用化された例はない.理由の一つは,従来提案された理論・手法が現実の現象に対して未だ十分ではないことである.そこで本年度は以下の点に着目して研究を行い,提案のコントローラが現実のシステムに対して効果的な制御手法であることを実証した.1. これまで明らかでなかった手術支援ロボットの動的特性の解析: 周波数解析を通じて,マスター(phantom omni)・スレーブ(手術支援ロボットIBIS)双方の動的特性を明らかにした.2. 非受動・むだ時間システムに対するマルチラテラル安定化制御理論に基づくコントローラの手術支援ロボットへの組み込み: 上記特性に合うようチューニングしたIQC(Integral Quadratic Constraint)安定化理論により導出された制御コントローラを,マスター側(phantom omni)・スレーブ側(手術支援ロボットIBIS)の双方に組み込み,様々な操作対象・様々な操作状況・様々な通信条件下において安定性が確保されることを確認した.3. 豊橋技科大-東京医科歯科大間での遠隔手術の実証: 東京医科歯科大学に設置された手術支援ロボットを豊橋技術科学大学からインターネット回線により操作し,かつ,対象物に対する操作力が触知覚できる事を確認した.本実験では,ステレオビジョンによる立体視画像も同時に伝送した.以上,当初目的のひとつであるIQC安定化理論を非線形システムに適用することはかなわなかったが,実機実験により,我々の提案する制御手法の有効性が実証された.
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Haptic Interaction Perception, Devices and Applications
巻: 277 ページ: 267-272