研究課題/領域番号 |
26630079
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西村 秀和 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 教授 (70228229)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自動運転システム / システムアーキテクチャ / システムモデル / 車両運動制御 / 制御システム設計 |
研究実績の概要 |
自動運転システムを搭載した車両の普及が検討されているが,当該研究ではドライバーと制御システムの責任範囲を明確に定義した上で,システム論的アプローチにより,ドライバーによるオーバーライドの許容範囲を明確にする.その上で,ドライバーによる自動車に関する可観測性と可制御性を関するするための仮想ドライバーモデルの構築を目指す.また,車両を安定に走行させることにドライバーが操縦できているかどうかを判断するための評価システムを構築する. 全体の制御システムアーキテクチャを構築するため,システムモデルの記述言語であるSysML(Systems Modeling Language)を用い,自動運転システムとドライバーの関係性を外部システムとの関係とともに明らかにした.また,自動運転システムがドライバーの操縦をどのように補完するかについてシミュレーションを行うため,車両運動安定化のための制御システム設計を施した.これにより,ドライバーの操縦をアシストする度合いを評価するシミュレーションが実施できた.仮想ドライバーモデルに関するシミュレーションでは,物理シミュレーションソフトウェアを用いてドライバーによる不適切な操縦があったときに,どのようにそれを検知するかという点についてシミュレーションにより検討した. ドライビングシミュレータ上での検証に関しては,平成27年度に実施することを計画している.仮想ドライバーモデルのシミュレータへの実装を行い,ドライバーによる操縦の車両運動への影響を推定する方法について検討する計画である.また,ドライビングシミュレータ上でドライバーの視線計測を行い,自動運転システムがどのようにドライバーの操縦を補完できるのかを検証する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度としては,自動運転システムを構築するためのシステムアーキテクチャを明確にすることに重点を置いており,SysMLを用いた記述が計画通りに進んでいる.また,シミュレーションを用いて,自動運転システムがドライバーの操縦をどのように補完するかについて明らかにすることができた.また,この環境で車両運動安定化のための制御システム設計を施すことができ,ドライバーの操縦をアシストする度合いを評価するシミュレーションが実施できた.仮想ドライバーモデルに関するシミュレーションでは,物理シミュレーションソフトウェアを用いてドライバーによる不適切な操縦があったときに,どのようにそれを検知するかという点についてシミュレーションにより検討することができた.
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今後の研究の推進方策 |
システムモデルの記述とシミュレーションモデルとの関係性を明確にしながら,今後は,ドライビングシミュレータ上での検証へ移行していく.仮想ドライバーモデルをシミュレータへ実装するため,いくつかのユースケースを用意する.そして,ドライバーによる操縦の車両運動への影響を推定する方法について検討する.また,ドライビングシミュレータ上でドライバーの視線計測などを行い,自動運転システムがどのようにドライバーの操縦を補完できているかを検証できるプラットフォームとなるシステム構築を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金で研究補助を予定していた学生の体調が優れず,研究補助を依頼できなかったため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
ドライビングシミュレータでのシミュレーションを実施するに際して,交通環境を構築するのに必要なソフトウェアを購入する費用として使用したい.
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