研究課題
当該研究では,自動運転システムを搭載した車両でのドライバーと自動運転システム間の運転権限の移譲をどのような条件で行うことで安全が確保されるのかを明確にした.特に,システム論的アプローチを取り入れ,ドライバーによるオーバーライドの許容範囲を変更することによる影響を検討した.全体の制御システムアーキテクチャを構築するため,システムモデルの記述言語であるSysML(Systems Modeling Language)を用い,自動運転システムとドライバーの関係性を外部システムとの関係とともに明らかにした.具体的には,事故発生に基づくユースケースを設定し,アクティビティ図と状態機械図を用いた振る舞いの明確化を行った.また,ドライバー状態を評価する方法を構築するため,シミュレーションにより車両を安定に走行させることに関するドライバーの操縦の寄与度を算出した.自動運転システムがドライバーの操縦をどのように補完するかについてシミュレーションを行うため,車両運動安定化のための制御システム設計を施した.これにより,ドライバーの操縦をアシストする度合いを評価するシミュレーションが実施できた.仮想ドライバーモデルに関するシミュレーションでは,物理シミュレーションソフトウェアを用いてドライバーによる不適切な操縦があったときに,どのようにそれを検知するかという点についてシミュレーションにより検討した.また,ドライビングシミュレータ上での検証を行うため,仮想ドライバーモデルをシミュレータへ実装し,ドライバーによる操縦の車両運動への影響を模擬できるようにした.
すべて 2015
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安全工学
巻: Vol.54, No.3 ページ: 153-157