急激な出力調整が難しいという欠点を補うために考案されたスターリングエンジンとDCモータを組み合わせたハイブリッド車両を実証試作するために、特に平成26年度は、「駆動トルク配分機構およびその制御システムの開発」に重点を置いた。駆動トルク配分機構には、遊星歯車を用いた。駆動トルクの配分制御にはクラッチ機構を利用して実現した。さらに、その制御システムの構築を行った。スターリングエンジンの代わりに誘導電動機を用い、動力配分機構の運転テストを行い、その性能実証評価を行った。 制御スキームは以下の考え方で実現した。クラッチ制動機構をONにすると誘導電動機駆動トルクが外輪に伝達されDCモータと協調して車輪を駆動することができる。逆に、OFFにすると誘導電動機の動きをフリーにすることができる。急な加速を必要とする場合には、クラッチ制動をOFFにしてDCモータ単体で車輪を駆動し、その間に誘導電動機のトルクが十分に立ち上がった時点でクラッチ制動をONにしてDCモータとの協調駆動を行う。誘導電動機単体駆動が可能な場合にはDCモータをOFFにする。 動力配分機構の運転テストでは、実験の評価項目として、誘導電動機の軸出力ならびに回転数、DCモータの回転数、遊星歯車から出力される回転数を測定することにより、動力配分機構の運転効率を測定できるようにした。このような測定項目を通して、様々な運転状況におけるスターリングエンジン・モータ方式ハイブリッド車両の動的な特性と、運転状況に対する応答性能を評価し、将来の実用化に向けた技術開発ならびに設計データとノーハウの蓄積を行った。
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