本年度は、外部から力が加えられたときの受動運動が及ぼす脳活動を調べる事を目的とした、4指の屈曲運動を支援する高磁場環境対応型の外骨格教示システムを設計・製作した。この教示システムは、高磁場環境下で稼動できるように樹脂にて機構部を製作し、空気圧アクチュエータにて駆動する機構を採用した。また、コントローラおよびコンプレッサーは、MRI計測室の外の準備室に配置した。 この開発した外骨格教示システムが、1)脳活動がfMRIによって正常に計測できること、2)本システムがMRI環境で正常に稼動すること、を実験により確認し、MRIコンパチビリティがあることを確認した。 また、外骨格教示システムを用いたタッピング実験を行い、自分の意思で指を動かす能動運動による運動学習における記憶の干渉と同様に、教示システムによって指が動かされる受動運動においても、記憶の干渉の発生の有無について確認実験を行った。まず、1つ目の目標動作を学習した後に、2分の休憩をおいて、類似した目標動作を学習した場合には、2つ目の動作学習を行わなかった場合と比較して、1つ目の動作の正確性が低下し、記憶の干渉が起こることを確認した。一方、1つ目の動作学習後、6時間置くことで,受動運動による記憶の干渉が起きない事も確認した.これらのことから,受動運動による学習においても "短いタスクを集中的に学習する" といった干渉を考慮し,固定を促進する学習方法が望ましいことが示唆された。
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