本研究課題では,直線歩行の不安定化という力学的性質に着目し,ムカデなど多足生物の機敏な歩行生成機序の解明と高機動性を有する脚ロボットの開発を目指した.特に,機動性の検証実験として,歩行中の旋回タスクに着目し,次の3つのテーマを実施した.1.旋回タスクを可能とする多足ロボットの改良,2.直線歩行の不安定化の検証,3.旋回タスクの実施と直線歩行安定性と旋回機動性の関係の解明.これらの結果から,直線歩行不安定性が機動性に寄与することが解明され,体軸柔軟性やそれに付随した安定性の制御による機動性向上など,生物の歩行戦略とも関連した重要な示唆が得られた.現在これらの成果をとりまとめ,論文を投稿中である.
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