研究課題/領域番号 |
26630099
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
倉爪 亮 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (70272672)
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研究分担者 |
岩下 友美 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (70467877)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 知能ロボティクス / 環境知能化 / ウエアラブルセンサ / サービスロボット / 一人称画像 |
研究実績の概要 |
我が国では近年,少子高齢化が加速しており,介現護場における労働力不足が深刻化している.その解決策の一つとして,人との共生を目指したサービスロボットの開発が進められている.サービスロボットによる生活支援サービスを計画・提供するためには,複雑に変動する生活空間の中で多くの環境情報を取得し,それらを実時間で処理する必要がある.しかし,可搬能力や処理能力の限界から,サービスロボット単体がこれらを全て実行することは困難である.この問題に対し,我々はこれまでロボットの作業環境に分散センサネットワークを構築する環境情報構造化について研究を行っており,サービスロボットのための情報処理アーキテクチャTown Management System (TMS)の開発を進めてきた. 従来のTMSで管理される環境情報を生活支援を受けるユーザの視点(1人称)から整理すると,ロボット搭載センサから得る情報は2人称,環境固定センサから得る情報は3人称に分類することができる.これら2人称,3人称視点の情報は,環境全体を広範囲に計測することができる反面,ユーザに近い環境に対しては,解像度や死角の存在などの問題が起きやすく,ユーザの指示や要求を信頼性高く認識することが困難な場合がある. そこで本研究では,従来の2人称・3人称視点による環境計測に対して,ウェアラブルカメラによって得られる1人称視点情報を加えた,新たなセンシングシステム「第4人称センシング」を提案した.特に今年度は,曖昧性を含むサービスロボットへの物品取り寄せ指示に焦点を当て,ユーザの視線方向を利用した指示物品の特定手法を開発した.また実験を行い,第4人称センシングが曖昧な指示に対する正確な理解に有効であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画では,1人称画像が計測できるウエアラブルカメラと,これまでに構築した3人称情報を取得する知能化空間を組み合わせ,①知能化空間に登録された候補物品と1人称画像内の物品画像の対応を決定するシステム,および②対応関係が一意に定まらない場合には,装着者の視野内に3人称情報の候補物品を提示することで,指示の正確性を向上するシステムを構築することを目的とした.①については,シースルー型ウエアラブルカメラ(Moverio, Epson)から,装着者の見ている画像を取り込み,その画像と位置計測システム(Bonita, Vicon)により得られる装着者の視線方向,および空間データベースROS-TMSに登録された候補物品から,装着者が意図する物品を決定する仕組みを開発した.また②については,シースルー型ウエアラブルカメラ(Moverio, Epson)上に,3人称情報である知能化空間に登録した候補物品を提示し,装着者に信頼性高く選択させるシステムを開発した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成26年度に構築した1~3人称情報を用いたセンシングシステムを用いて,③知能化空間においてサービスロボットによる物品取り寄せ実験を行い,1~3人称情報の統合による指示理解の確実性の向上を確認する.また,1人称画像から装着者の行動を分類,学習し,現在行っている行動(食事,読書,パソコン,睡眠など)を識別する手法を開発する.さらに識別された行動と上記で構築された1~3人称情報を用いた候補対象の絞り込み手法を組み合わせて,指示が実際に発せられる前にロボットが先読みしてペットボトルの把持に向かうなど,④対象者自身の興味や行動をトリガーとしたプロアクティブ(先読み)なロボットサービス(第4人称センシングシステム)の実現について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究に用いたウェアラブル携帯端末(Moverio, Epson)を,より高機能なスマートグラス,あるいは没入感VRインターフェースに置き換えることを検討しているが,適切な機種の選定に時間を要したため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の早い時期にスマートグラス,あるいは没入感VRインターフェースの機種選定を行い,購入する予定である.
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