H27年度においては,まず昨年度試作したラジアルギャップ型の磁気ギアードモータについて,汎用の3相正弦波インバータ回路を用いて駆動したところ,設計通りのギア比で動作することが確認された。一方で,負荷を徐々に増やしていくと磁気ギアードモータが異常停止してしまうことも明らかになった。この原因について種々調べたところ,磁極付近に設置したホールセンサが漏れ磁束の影響を受けて,正常な位置信号を得られなくなっていたことが判明した。そこで,位置センサを磁気式のホールセンサから光学式のセンサに交換したところ,異常停止の問題は解決された。 次いで,ラジアルギャップ型磁気ギアードモータの実負荷試験を行った。その結果,目標トルクである5.81N・mを電流密度10A/mm^2以下で達成できることが実証された。この結果は,昨年度,有限要素法(FEM)を用いて設計した結果とも良好に一致し,試作機がほぼ設計通りの性能を発揮できたことが証明された。また,以前に試作したアキシャルギャップ型の磁気ギアードモータの試作機と比較して,約1.6倍のトルク密度を達成することができた。なお,最高効率は70%であった。これはアキシャルギャップ型磁気ギアードモータと比べて約10%高い。ただし,モータとしての効率で見た場合には,未だ改善の余地があると言える。今後の効率改善に向けて損失の分析を行った結果,モータ部とギヤ部では,モータ部の方が効率が悪いことが明らかになると同時に,その原因は銅損に由来することが明らかになった。したがって,今後はモータの銅損を低減する設計が必要不可欠であると言える。
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