研究課題/領域番号 |
26630110
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小島 寛樹 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00377772)
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研究分担者 |
早川 直樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20228555)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / 真空中電気絶縁 / 直流 / 帯電 / 沿面放電 |
研究実績の概要 |
真空中の極性反転時の電界制御を目指して、本申請課題では、(1)浮遊電位電極を含む電極系における直流電界下の帯電分布形成、(2)極性反転時の沿面電荷挙動の解明,(3)沿面粗さなどによる極性反転時における沿面電荷挙動制御の可能性の検討の3項目について明らかにすることを目指す。 平成27年度では、上記(1)については平成26年度中に達成できなかった浮遊電極の帯電電位計測手法の検討を行い、容器を含めた電極系各所の静電容量を事前に測定すれば、静電プローブと容量分圧回路にて測定できることを確認できた。上記(2)については、極性反転前後の帯電量変化を、静電プローブおよびボルテージホロワ回路により測定した。インパルス電圧印加時の陰極を起点とするフラッシオーバとは異なり、沿面上の帯電電荷の挙動のみで沿面上の放電が起こることが、帯電電荷変化量と発光測定から明らかとなった。極性反転時の放電における放電電流が電極間を短絡するフラッシオーバの場合よりも小さいことも、この結果を裏付けた。なお研究計画当初は、電荷挙動の速度が速く、静電プローブで追随できなくなることを危惧していたが、逆に予想より遅く、10ms程度であったため、高速ビデオカメラによる発光からの放電進展範囲の観測ができた。 さらに、帯電を考慮した極性反転前後および極性反転に伴う放電後における電界解析を行った。絶縁物沿面上の電界分布から、本研究で使用した針-平板電極系においては、極性反転時に2次電子なだれが起こりうる領域は小さく、さらにその際の陰極からの電子供給が無いため、放電電流が小さくなったと推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度実施予定であった極性反転時の電荷挙動測定においては、現象の時定数が予想より遅かったため測定回路の調整が必要となり研究遂行に時間を要したが、高速ビデオカメラによる発光変化測定を追加で実施することができたことで、結果としては、当初予定以上の結果を出せる可能性が得られた。しかしながら、帯電電位の確認のために用いていた静電電位計の故障などにより、研究全体としては当初予定よりやや遅れ、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
極性反転時の電荷挙動測定において、現象の時定数が当初の予想より遅かったため、静電プローブへの誘導電流による測定が困難となった一方で、高速ビデオカメラによる発光像測定が追随できることがわかったので、測定データをさらに積み重ねて、電界解析による絶縁物沿面上の電界分布の観点から考察を深めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
静電電位計の故障などによる研究遂行の遅れに伴い、電極構造部品、電子回路部品の今年度における購入が予定よりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
静電プローブに接続されたボルテージホロワ回路内のサージ保護素子は、絶縁物上の沿面放電の発生に伴って消耗していくので、主としてその補充にあてる。
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