研究課題
蓄電デバイスとして回転エネルギーで蓄積するフライホイールバッテリも考案されている。本研究では、家庭用やスマートグリッド用小型フライホイールバッテリの実現に向け、主要部品の一つである軸受に関し、超低摩擦摺動膜であるテトラヘドラルアモルファスカーボン(以下、ta-C)膜を用いたスーパートライボ軸受けの利用可能性を探ることを目的とした。これまでの研究では,母材/硬質中間層/ta-C膜の3層構造による耐摩耗特性の向上に加え,表面膜をta-C膜からta-C:H膜とすることで,摩擦・摩耗時の相手材攻撃性の緩和を確認した。表面層となる薄膜には,その用途に応じた膜質を選択し用いることが求められる。本年度では,軟質アモルファスカーボン膜からta-C膜までを同一装置により作り分ける方法を確立し,多用途なスーパートライボ軸受け実現に向けたコーティング薄膜の選択肢拡大を図った。さらに,高い耐摩耗性を持ちながら相手材攻撃性を緩和した高機能多層ta-Cコーティング膜を実現した。軸受表面として適したトライボ特性は,表面コーティング膜特性のみでなく,軸受相手材との相互作用によって多様に変化する。本年度の研究により、スーパートライボ軸受けの実現に近づく,ta-Cを含めた多様な摩擦摺動膜の作製方法を確立した。本研究成果は,好適な表面薄膜コーティングにより,軸受トライボ特性が向上する可能性があることを明らかにした。
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Surface & Coatings Technology
巻: 307 ページ: pp.1029-1033
10.1016/j.surfcoat.2016.07.037
http://www.pes.ee.tut.ac.jp/