研究課題/領域番号 |
26630119
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 恭 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335379)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 作成・評価技術 / 高周波電磁界計測 / 計測工学 / 電子・電気材料 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、電気磁気効果に由来する電界誘導型スピンデバイスの実用化に向けて不可欠である、局所領域でのスピンの高周波電界応答を評価できる新規「高周波電界イメージング計測技術」を開発する。本年度は高周波電界の検出方式を確立するために、振幅変調方式とうなり方式の二つの検出方式について検討した。振幅変調方式に関しては、コプレーナ伝送線路にGHz帯の搬送波信号に加えて、Si探針の共振周波数に近い変調信号を入力することによって、伝送線路上で発生するGHz帯での高周波電界をSi探針で検出できることがわかった。Si探針先端と伝送線路表面との距離(リフト高さ)を数ミクロンの範囲で変化させても、Si探針による検出信号の大きさに変化がなく、理論計算から予想される結果とほぼ一致している。これに加えて、搬送波信号の周波数をMHzからGHz帯まで可変させたところ、線路上で発生する磁界検出の場合に比べて検出信号が安定していないことがわかった。一方、うなり方式に関しては、MHz帯からGHz帯までの幅広い周波数帯において、二台の高周波信号発生器を用いて周波数がわずかに異なる二つの正弦波信号を、コプレーナ伝送線路上で同時に入力することによって、伝送線路上でうなり信号による高周波電界を模擬的に発生させた。このとき、二つの正弦波信号の周波数差をSi探針の機械的共振周波数付近に近づけると、Si探針の振動振幅が最大となった。この結果は伝送線路上で発生させたうなり信号による高周波電界をSi探針で検出できることを意味している。また、この挙動はリフト高さを可変させても観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初うなり方式のみを検討する予定であったが、その方式に加えて振幅変調方式を研究計画に加えることによって、研究目的である高周波電界イメージング方式の構築に近づけることがきた。また、いずれの方式においても、単なる伝送線路上では発生する高周波電界の断面分布や二次元マッピングが可能であることを確認済みだからである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終目的であるスピンの高周波電界マッピングの検出を行うために、従来通り伝送線路を作製すると同時に、ME効果を発現する磁性体を準備する必要がある。そのため、昨年度学会や研究会に参加して得たME効果に関する情報を基にして、材料の選定とその作製を自作ないしは依頼することによって、マッピング計測の準備を速やかに進めていく。
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