研究課題/領域番号 |
26630126
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森本 章治 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (60143880)
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研究分担者 |
川江 健 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30401897)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 強誘電体 / 不揮発メモリ / 抵抗変化型 / 酸化物電極 |
研究実績の概要 |
本研究では、元素置換法により組成を変えて強誘電体薄膜を合成し、新規強誘電体抵抗変化型不揮発メモリを作製し、その不揮発メモリ機構を解明すると共に、そのメモリ機構に基づいた新規不揮発メモリの高性能化を図ることを目的とする。具体的には、既存の不揮発メモリ素子であるReRAMやPRAMの抵抗層の替わりに強誘電体層を用い、現在の不揮発メモリの性能を超える抵抗変化型不揮発メモリを実現することを目指している。 これまでに、レーザアブレーション堆積法(PLD法)により、Nb添加SrTiO3単結晶基板上にまずSrRuO3金属酸化膜を堆積し、さらにその上にNd添加BiFeO3強誘電体酸化膜を堆積し、最後に上部Au電極を堆積して、抵抗変型強誘電体メモリセルを構成し、そのメモリ特性を調べた。その結果、Nd添加BiFeO3酸化膜の強誘電性を確認すると共に、強誘電体のスイッチング電荷量と抵抗値が強い相関関係を有すること、30μ秒でデータ書き込み可能なこと、1万秒間のデータ保持が可能なこと、10万回の書き換え耐性を有することなどが明らかになった。 なおこれらのメモリ特性評価にあたっては、キャパシタの充放電電流と書き込まれたON抵抗るいはOFF抵抗による定常電流を区別するため、PUND測定法を用いて時間分解測定を行っていることを付記する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製した試料のメモリ特性を評価した結果、実験結果が想定している強誘電性分極反転による抵抗変化型メモリモデルにほぼ合致しており、我々独自のモデルがほぼ妥当であることが検証されつつある。また、書き込み時間、データ保持時間、書き換え耐性などのメモリ性能は、まだ目標値に達していないが着実に向上している。
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今後の研究の推進方策 |
抵抗のON/OFF比増加のためには初期書き込み時のOFF電流を抑制すること、書き込み耐性の改善のためにはOFF電流の経時的な増加を抑制すること、保持特性改善のためにはON電流の低下を抑制することなどが、重要であることが明らかとなってきた。今後、その対策を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
残った金額がごく僅かで、適切な支出項目が見当たらなかったため、次年度使用額としたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算と合わせて、研究に必要な消耗品等を購入する予定である。
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