研究課題
シリコンカーバイドの表面熱分解による、カイラリティのそろったカーボンナノチューブフォレストを基材として、そこからカーボンナノチューブを無触媒にて高密度に成長させる研究を行った。カーボンナノチューブの応用において、通常、成長に用いられる触媒は、カーボンナノチューブ中に残留するなどして、純度・性能の低下をもたらすと考えられている。カーボンナノチューブの無触媒成長は、この問題を解決する合成方法として注目されているが、報告は少なかった。すでに、カーボンナノチューブの無触媒成長には、種となるナノチューブ端から、ディールズ・アルダー反応により起こると報告されている。そこで我々は、高密度のカーボンナノチューブ端が面垂直方向に露出するカーボンナノチューブフォレストを基材に用いれば、高密度でのカーボンナノチューブ無触媒成長が実現できると考えた。高密度カーボンナノチューブフォレストの形成として、シリコンカーバイドの表面熱分解を採用した。この方法ではカーボンナノチューブのカイラリティがジグザグ型にそろえることが可能であり、成長現象を観察するには好適であった。カーボンナノチューブの端面を得るために、過酸化水素水によりキャップ部分を除去し、熱的化学気相堆積法にて無触媒成長を行った。1000℃、メタン・水素減圧下(40Torr)にて、無触媒合成に成功した。無触媒成長したカーボンナノチューブフォレストの観察から、成長モードとして、1)ほとんどのCNTがフォレスト状に、ほぼ同等の高さで成長するフォレスト成長、2)一部のナノチューブが高速に成長し、フォレストから飛び出る孤立成長が確認された。両者の差は、基材のシリコンカーバイド上カーボンナノチューブフォレストのカイラリティが、ほとんどジグザグであるもの(成長モード1)、一部はジグザグからずれているため、そこで高速な成長が起こった(成長モード2)と考えられる。
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