FeNi磁性細線上の磁壁を磁界で動かすことにより逆スピントルク効果が生じ、微弱ではあるが発電することが報告された。しかし、この出力は小さく、これを大幅に改善するのが本研究の目的である。そこで、スピン軌道相互作用の大きな希土類元素を含む希土類・遷移金属合金からなるTbFeCo磁性細線を試作した。すると、スピン発電量はFeNiの45倍にもなった。ただし、この磁性細線のカバー層に用いた重金属Ptには、大きなスピン軌道相互作用が生じ、スピンホール効果やジャロシンスキー守谷相互作用などのスピンオービトロニクス効果のスピン発電への影響も考えられ、スピン発電メカニズム解明が今後の課題である。
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