研究課題
TSV(Through Silicon Via)配線と金属バンプを用いてチップを積層し接続する三次元半導体実装構造では,チップ及び半導体パッケージが線膨張係数の異なる多くの材料で構成されるため,実装時に物性差に起因した熱残留応力が発生する.特に,金属バンプとバンプ間に充填された樹脂材(アンダーフィル)の弾性率(ヤング率),線膨張係数の差が大きいため,熱硬化時や使用中の温度変化によってバンプ接続部近傍に局所的に高い熱応力や変形が発生し,シリコンチップ割れ,配線の剥離,トランジスタの特性変動など様々な不良の直接的原因となっている.このバンプ/アンダーフィルの物性差に起因する残留応力・局所変形を低減するための設計指針として本研究では,結晶方位を制御しためっき銅バンプの作製による低ヤング率化の実現可能性について検討した.バンプに用いられる銅は,ヤング率が結晶方位によって異なる材料であることから,ヤング率が最も低い(001)面に配向した銅バンプ作製のためのめっき条件,下地材料の最適化を行った.電解めっきによって作製された材料の結晶配向性は下地材料の結晶構造,配向性に依存するため銅の(001)面配向が可能な下地材料として,(001)面配向のβ-Taをバリア層に採用し,その上に銅のシード層を成膜した.下地層成膜後,直流電解めっき法で銅薄膜を作製し,結晶配向性をX線回折および電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Back Scattering Diffraction)法により,ヤング率をナノインデンテーション試験により評価した.その結果,銅薄膜の(001)面配向化を確認し,(001)面配向単結晶銅と同等のヤング率(平均130GPa)を得た.(111)面配向単結晶銅の平均ヤング率が150GPaであったことから,結晶方位を制御しためっき銅バンプの作製による低ヤング率化の実現可能性を実証した.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Proceedings of International Technical Conference and Exhibition on Packaging and Integration of Electronic and Photonic Microsystems
巻: IPACK2015-48197 ページ: 1-6
10.1115/IPACK2015-48197