本研究の目的は,極微細イントリンジックトランジスタにおける特性ばらつきの統計的分布を実測し,微細トランジスタにおける単一不純物の効果を明らかにすることである.ナノワイヤ幅が2nmから7nmの多数のシリコンナノワイヤトランジスタを作製し,その特性ばらつきを実測した結果,ナノワイヤ幅が7nm程度のトランジスタでは特性ばらつきがほぼ正規分布を示すのに対し,ナノワイヤ幅2nmのトランジスタでは,分布が正規分布から外れ高しきい値領域に裾野をひくことを明らかにした.この現象は,単一不純物の影響およびナノワイヤ幅揺らぎによる量子効果の影響によるものと考えられる.
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