研究課題/領域番号 |
26630161
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
五十嵐 浩司 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80436534)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光ファイバ伝送 / コヒーレント光通信 / パルス整形 / ディジタル信号処理 |
研究実績の概要 |
スーパーナイキスト波長多重システムにおけるポリバイナリパルス整形の性能を実験的に評価した。ディオバイナリパルス整形およびトリバイナリパルス整形された3チャネル波長多重信号を生成し、波長多重間隔を変化させた際のビット誤り率のOSNR依存性を測定した。パルス整形および変調多値度に対して網羅的に測定し、周波数利用効率とペナルティの関係を明らかにした。 QPSKに対しては、ディオバイナリパルス整形を施すことで1dB程度のペナルティが生じるものの、符号速度の15%減の周波数間隔にしてもペナルティは2dBに抑圧された。一方、トリバイナリパルス整形を施すと、隣接チャネルからのクロストーク特性は改善するものの、4dB以上のペナルティが生じてしまう。 16QAMではディオバイナリ・トリバイナリパルス整形両方ともに3dB以上の大きなペナルティが生じることが判明した。 以上から、複雑なポリバイナリパルス整形の採用、16QAM信号への適用では、技術的な観点から変調が困難となり、大きなペナルティが生じることがわかった。ディオバイナリパルス整形QPSKがもっとも利点が大きい。 ポリバイナリパルス整形は、周波数利用効率と要求SNRの関係においてQPSK・16QAM・64QAMの間を生める技術として位置づけることができることがわかった。現状の技術では、QPSKにディオバイナリパルス整形を適用するのが現実的である。 なお、実験の前にシミュレーションによる性能評価も行い、ポリバイナリパルス整形の原理的な性能は評価済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリバイナリパルス整形信号を生成・受信する送受信器を準備することができ、back-to-back構成でのポリバイナリパルス整形の性能評価は達成した。 最終目標である長距離伝送実験でのシステム評価のための事前準備はほぼ整ったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ポリバイナリパルス整形信号のスーパーナイキスト波長多重伝送性能を評価する。40km中継スパンの伝送システムを準備し、実際に伝送実験を行う。事前評価で利点があると判明したディオバイナリパルス整形QPSK信号がどこまで伝送可能かを明らかにする。 また申請内容に加えて、誤り訂正技術のパルス整形依存性を議論したい。近年、有識者の間では、誤り訂正符号の性能はパルス整形に依存するのかどうか、に関心が集まっている。本研究でも、ポリバイナリパルス整形信号の誤り訂正性能を検討し、パルス整形が影響を与えるかどうかを明らかにする。
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