研究課題/領域番号 |
26630162
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 崇 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80360535)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スピントルク / 自励発振 / 純スピン流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、巨大磁気抵抗効果を示すスピントンネル素子に、申請者の代表的シーズ技術である純スピン流の高効率制御技術を組み合わせ、多端子型の革新的スピントルク発振器を実現することである。 初年度は、高出力な発振を得るための高品質トンネル接合膜作製技術の確立を行った。既存の超高真空スパッタ装置を最適化することで、CoFeB/MgO/CoFeB で構成される極めて結晶性の高い強磁性トンネル接合の作製技術を確立し、室温にて、50 % を超える巨大トンネル磁気抵抗効果を実現した。更に、純スピン流の生成効率に置いても、CoFeAl 注入源を用いて、従来型の NiFe を用いた場合に比べ、10 倍以上のスピン注入効率を実現た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標通りに、MgO トンネル磁気抵抗素子の作製技術を確立した。更に、CoFeAl 電極による純スピン流生成効率を一桁向上させられたのは、想定外の成果である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に開発した CoFeAl 電極をナノピラーデバイスへと高度化し、巨大純スピン流を効率的に生成する技術を確立する。その後、これまでの研究において開発した、低加速・傾斜イオンビームを用いた極清浄な強磁性/非磁性界面作製技術を用いて、MgO トンネル接合を、ピラー型素子に組み込む技術を開発する。その後、スピン流の偏極方向や発振層のサイズ増大などを理論解析と対比しながら最適化し、発振特性の高出力化・高性能化を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最も消費を想定していた磁気力顕微鏡の探針や高周波プローブが、幸いにも摩耗することなく長期間使用できた点が主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
高周波プローブや磁気力顕微鏡の探針を購入するとともに、より加速的に研究を進展させるため、リサーチアシスタントやテクニカルスタッフの雇用を行う。
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