研究課題/領域番号 |
26630163
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
都甲 潔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (50136529)
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研究分担者 |
小野寺 武 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50336062)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抗体 / 交差反応 / 辛味 / センサ / 表面プラズモン共鳴 |
研究実績の概要 |
抗ホモバニリン酸-ロコガイヘモシアニン(CCH)ポリクローナル抗体と表面プラズモン共鳴センサを用いたカプサイシノイド検出系の確立を行った.PEG6-COOH aromatic dialkanethiolを用いて自己組織化単分子膜を形成し,ホモバニリン酸やカプサイシノイドと共通のバニリル基を持つバニリルアミンを固定化した.間接競合法により,トウガラシ中のカプサイシノイドの80~90%を占めるカプサイシン,ジヒドロカプサイシン,ノルジヒドロカプサイシンの測定を行った.検量線は3種とも同様の傾向を示し,標準偏差の3倍を考慮し,それぞれ,27 ppb,35 ppb, 50 ppbと見積もられた.また,同様にバニリル基を持つ生姜の辛味成分であるジンゲロールについて,検出限界95 ppbが得られた. 生のトウガラシからカプサイシノイドの抽出方法を検討した.凍結乾燥した生のトウガラシをミキサーで粉砕し,エタノールに浸漬することで,抽出することができた.抽出サンプルからカプサイシノイドを回収する方法として,オクタデシル基が結合されたスピンカラムを用いて,カプサイシノイド回収条件の最適化を行った.SPR測定により,カプサイシノイドの回収が可能であることがわかった. コショウの辛味成分であるピペリンの類似物質である5-(1,3,-Benzodioxol-5-ly)-2,4-pentadienoic acidとCCHをコンジュゲートし,免疫原(BZP-CCH)とし,ポリクローナル抗体の獲得を行った.また,ハーブ系の辛味成分であるカルバクロールやチモールの類似物質として,Benzenepropanoic acid, 2-hydroxy-b,4-dimethyl-を選択し,入手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピペリン用のポリクローナル抗体のSPRセンサによる評価を行う.コショウ,ショウガからの辛味成分の抽出方法の最適化を検討する.ハーブ系の辛味に対する抗体を作製する.ターゲット類似物質をアフィニティカラムに固定化する.酵素標識抗体を結合し,そのカラムに辛味成分を添加する.抗原抗体反応により抗体が辛味成分に結合するため,標識抗体はカラム上の類似物質から解離し,カラム外に排出される.排出された標識抗体に酵素と反応する基質を添加し,反応させる.この時の反応生成物(例えば,グルコン酸)を脂質高分子膜の膜電位計測により検出を行う.
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今後の研究の推進方策 |
ピペリン用のポリクローナル抗体のSPRセンサによる評価を行う.また,コショウ,ショウガからの辛味成分の抽出方法の最適化を検討する.ターゲット類似物質をアフィニティカラムに固定化する.酵素標識抗体を結合し,そのカラムに辛味成分を添加する.抗原抗体反応により抗体が辛味成分に結合するため,標識抗体はカラム上の類似物質から解離し,カラム外に排出される.排出された標識抗体に酵素と反応する基質を添加し,反応させる.この時の反応生成物(例えば,グルコン酸)を脂質高分子膜の膜電位計測により検出を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
保有していた抗HVA-CCHポリクローナル抗体の失活により,カプサイシノイドのSPR測定の再現性の確認が遅れ,成果公表の予定に遅れが生じた.また,ピペリン用抗体として,BPA-CCHにより免疫したが,初回免疫時には抗体価が上がらず,再度免疫原を作製し,追加免疫を行ったため,ピペリン用の抗体の獲得に遅れが生じ,SPRでの評価に着手できなかった.以上の理由により次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
SPRセンサチップや自己組織化単分子膜用試薬,成果公表の旅費に使用する.
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